遅れましたが。近畿会の友松悦子先生による論壇です。財務省による消費税負担還付制度が所得制限付で検討され始めた今読むと興味深いです。
軽減税率の有効性
インボイスの導入により免税事業者が取引から排除
与党税制協議会は低所得者対策として軽減税率を導入するため検討をしているが、検討されている3案のどれにも「低所得者への配慮」という視点に○はない。このことは、軽減税率を導入しても低所得者対策の効果が少ないことを示している。
単一税率の場合よりも負担は軽減されるが、同時に軽減する必要のない高所得者の負担も軽減してしまう。
特定の産業等に低税率を適用し保護できるが、恣意的になり公平な基準は困難。
税収が減少するため、予定していた社会保障給付を減額するor標準税率を引き上げる等、代替財源確保の必要性。
簡易課税制度がより複雑になる。業種によっては更に益税が増加。
複数税率による事務コスト増が物価に跳ね返る。
インボイスの売買、偽造による脱税のおそれ。
つまり、結果的に、軽減税率を導入するメリットは「消費税の負担が軽減されている感覚が味わえること」のみ。
酒類を除く飲食料品を対象として軽減税率を導入した場合、減少する税収は約1.3兆円と試算。標準税率で減少分を代替する場合、標準税率を10.5%にする必要がある。
代替財源として標準税率を引き上げることは、低所得者対策にならない。
大衆迎合の安易な政策であり、低所得者対策としては効果も低く、効率も悪い。給付付き税額控除制度も考えられる。マイナンバー制度が普及定着し全ての納税者の所得が正しく漏れなく把握されることが確認できれば、税額控除できない部分を給付するという税制と社会保障制度の両面から最適な低所得者対策が実現できる。そのときまでは、給付付き税額控除制度も導入すべきではなく、簡素な給付措置で対応すべきである。
終始なかなかに手厳しい論調ですが、概ね同意です。
マックス4,000円(5,000円に上がったとの情報もありますが)が還付されるような制度の検討を財務省が始めているとのニュースもありますが、さてどうなりますかね。財務省がホンキで4,000円だとか5,000円だとかのためにマイナンバーを持ち歩かせるような制度設計をしますかね。何かウラがある気がしてなりません。財務省はそんなにアホじゃないですから。我々の知りえない、想像の及ばない知恵があるはずです。
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嵐山町固定資産評価審査委員会 委員
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