遺言による遺産分割の指定・死亡保険金の配分


週刊税務通信 平成28年4月4日 №3403より

税務相談 資産税 回答 税理士藤田良一先生

相続人甲、乙、丙、丁。

自筆証書遺言に以下のような記載あり

  1. A宅地、B家屋は甲及び乙に相続させる。
  2. C生命保険会社の保険金は、甲、乙、丙、丁に均等に相続させる。

A宅地、B家屋について甲乙協議のうえ、全て甲が単独所有した場合、甲乙間で贈与税生じるか?

答えは否。最高裁判決(平成3年4月19日)において、「相続させる」遺言の解釈は判示済。

【最高裁第二小法延判決/平3.4.19】
遺言書において特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言者の意思が表明されている場合,遺言者の意思は,当該遺産を当該相続人をして,他の共同相続人と共にではなく,単独で相続させようとする趣旨のものであると解するのが当然の合理的な意思解釈というべきであり,遺言書の記載から,その趣旨が遺贈であることが明らかであるか又は遺贈と解すべき特段の事情がない限り,遺贈と解すべきではなく,民法908条にいう遺産の分割の方法を定めた遺言である。

上記より、本件遺言の趣旨は、甲乙に相続させるという遺産の分割方法を指定したもので、甲乙間の分割は甲乙の協議に委ねられていると解すべきもの。ここまではものの本によく書いてあります。で、次の小規模宅地等の特例について。

被相続人と同居していた甲乙が居住用家屋(B建物)の敷地であるA宅地について特定居住用宅地等として小規模宅地等の評価減の特例の適用を受ける場合、申告書に「全ての共同相続人が自署し、自己の印を押した分割協議書の写し」及び「全ての共同相続人の印鑑証明書」の添付が必要か?

答えは否。本件A宅地は遺言で甲乙が取得することになっているわけで、遺産分割協議も甲乙で実施するのでA宅地の分割協議書に丙丁の自署押印印鑑証明は不要。よって以下の書類添付でOK。

  1. 遺言書の写し
  2. 甲乙のA宅地の分割協議書
  3. 甲乙の印鑑証明書

 

C生命保険について、契約者(保険料負担者)、被保険者は被相続人、保険契約書上の保険金受取人は甲で、保険金も甲名義預金口座に入金済。

「C生命保険会社の保険金は、甲、乙、丙、丁に均等に相続させる。」という遺言は、受取人を甲から「甲乙丙丁」に変更して、保険金取得割合は均等にするという趣旨であると解すべき。

これも最高裁にて判示済。

【最高裁第一小法延判決/昭62.10.29】
保険契約者が保険金受取人を変更する権利を留保した場合において,保険契約者がする保険金受取人を変更する旨の意思表示は,保険契約者の一方的意思表示によってその効力を生ずるものであり,また,意思表示の相手方は必ずしも保険者であることを要せず,新旧保険金受取人のいずれに対してしてもよく,この場合には,保険者への通知を必要とせず,右意思表示によって直ちに保険金受取人の変更の効力が生ずると解するのが相当である。

甲は入金された金額のうち、乙丙丁の各取得分を払い出す必要があります。

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