税のしるべ 令和6年1月15日
令和6年度税制改正大綱において、中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)の解約後、共済契約を再度契約した場合には、解約日から2年を経過する日までの間に支出する共済契約の掛金は損金算入を不可とする旨の改正案が盛り込まれています。所得税も同様。
令和6年10月1日以後の解約から適用予定。
「中小企業倒産防止共済契約制度の不適切な利用への対応について」のよると(そもそも制度が予定していない利用方法とはいえ不適切といえるのか…)、任意解約の約33%が3年目及び4年目の解約でさらに令和2年から4年にかけては再加入者の割合が約16%、再加入者のうち脱退から2年以内に再加入する者の割合が8割超とのこと。
ということですが。
解約時に益金算入されて課税されるので、トータルとしては同じです。
いや、契約者からすると税金的には損をしている可能性の方が高いです。損金算入の事業年度に課税所得が800万円以下であれば税率は15%であるのに対し、解約時においては800万円が益金算入されて、解約金以外の課税所得で欠損が生じていなければ、800万円を超える部分については税率23.2%となります。
節税額
800万円×15%=120万円
解約による課税額(解約金以外の課税所得が800万円だったとした場合)
800万円×15%=120万円
800万円×(23.2%-15%)=65万6千円
120万円+65万6千円=185万6千円
65万6千円の損です。
倒産防止共済は制度趣旨は無視され、ほぼ節税としての利用しかありません。
そして倒産防止共済は節税にすらなっていないのです。単なる税の繰延です。
なので、800万円までたまったら解約して再度加入とするのでしょうが。上記のとおり、トータルで見ると節税はもちろん税の繰延にすらなっていない可能性の方が高いです。
なのになぜ改正するのでしょうか。
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