令和2年度新春タクトセミナー
令和2年度税制改正とこれからの相続対策のポイント
行ってきました。毎年恒例。
と言っても、今回の税制改正において、資産税関係は目玉商品はなく、小さな改正でまとまっています。租税回避の穴を埋める程度でしょう。
で、第2部の講演の中で気になったところがありまして。
まず遡ること、平成31年度税制改正大綱は「第一 平成31年度税制開始の基本的考え方」の14ページ。
(2)相続税・贈与税のあり方、②資産移転の時期の選択に中立的な相続税・贈与税に向けた検討において、
高齢化の進展に伴い、いわゆる「老々相続」が課題となる中で、生前贈与を促進する観点からも、資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築が課題となっている。諸外国の制度をみると、生前贈与と相続に対して遺産税もしくは相続税を一体的に課税することにより、資産移転の時期の選択に中立的な税制が構築されている例がある。一方、わが国においては、平成15年に相続時精算課税制度が導入されており、本制度の適用を選択すれば、生前贈与と相続に対する一体的な課税が行われるが、本制度は必ずしも十分に活用されていない。今後、諸外国の制度のあり方も踏まえつつ、格差の固定化につながらないよう、機会の平等の確保に留意しながら、資産移転の時期の選択に中立的な制度を構築する方向で検討を進める。(以下略)
とあります。確かに当時読んだことは読みましたが、よくわからん、てスルーしていました。
ところが。
この「資産移転の時期の選択に中立的な制度」とは、H30.11.7政府税制調査会第20回財務省説明資料の下記7ページ以降についてのことらしく。
説明資料〔資産課税(相続税・贈与税)について〕平成30年11月7日(水)財務省
つまり。
例えば。
アメリカの場合、生涯にわたる累積贈与額と遺産額に対して遺産税を一体的に課税。
ドイツ、フランスでは死亡前の10年(ドイツ)15年(フランス)の累積贈与額と相続財産額に対して相続税を一体的に課税。
一方、わが日本では相続時精算課税制度を選択している場合、選択以後の贈与額と相続財産額については一体課税されるものの、暦年贈与の場合は死亡前3年以内の贈与を加算するだけ。
要するに。
相続税率と贈与税率の差額で暦年贈与が有利な範囲内で生前贈与を実行して相続税対策が行われていることを指摘している。
さらに、令和2年度税制改正大綱の14ページにおいても昨年の「資産移転の時期の選択に中立的な税制~」というコピぺが丸写しで記載されている状況を鑑みると。
財務省は暦年贈与を例外として、相続時精算課税制度を原則として採用することを狙っているのでは???
もっというと、暦年贈与を廃止してアメリカと同じく生涯にわたる累積贈与と遺産額に対して相続税を一体的に課税することを狙っている???
暦年贈与で塵も積もれば山となる相続税対策を実行している人は、今のうちから金額をギリギリまで釣り上げておくべきかもしれませんね。
いや、これは大変だ…
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関東信越税理士会東松山支部 経理部長
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嵐山町固定資産評価審査委員会 委員
@smoritoshi