月刊税理2016年1月号より 税務キャッチ・アップ 所得税関係
クラウドファンディングと所得税
私も昨年、顧問先の会社がクラウドファンディングで資金調達を実施したので、1口乗ってみたところです。
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クラウドファンディングとは?
これは、不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織が行うプロジェクトに小口の資金の提供や協力などを行うことを指す、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語であり、ソーシャルファンディングとも呼ばれる。
それで、これに関しての税務です。個人が資金提供したケースで考えてみます。形態により、下記3つに分かれます。
- 購入型
- 寄附型
- 投資型
さらに、投資型は以下の3つに分かれます。
- 融資型
- ファンド型
- 株式型
購入型
資金調達した会社等がその会社等の商品やサービスを対価として提供するものです。出資というより、実質的に通常の商品販売や役務提供なので、税務上もそのように取り扱う。
資金提供者側も仕入や販管費を構成し、消費税の課税仕入となる。
注意点として、出資金額よりも明らかに低額の商品やサービスが対価となる場合は、実際の価額との差額が寄附とされる可能性あり。
寄附型
文字どおり寄附。資金提供に対するリターンがないもの。寄附だが、所得税法上の特定寄附金ではないので、寄附金控除の適用はなし。
投資型のうち融資型
本来、「ピア・ツー・ピアレンディング」としてネットを通じて資金提供したい人と融資を受けたい人を結びつける融資手法。日本では匿名組合方式のファンドに投資者が出資して、そのファンドが事業者に資金提供する仕組み。資金提供者の税法上の取扱いはファンド型と同じ。
投資型のうちファンド型
資金提供者と資金調達者の二者間で匿名組合契約を締結。資金調達者はその資金を元に事業を行い、匿名組合員に対し利益の分配をする。利益はいったん資金調達者に帰属し、匿名組合員は分配された利益に課税。分配金は雑所得で要源泉徴収(20.42%)。普通に匿名組合の課税関係ですね。
投資型のうち株式型
いわゆる出資ですね。増資のケースが多いでしょうか。税務上の取扱いも有価証券の取得となります。
以上のケースで検討してみますと、私が今回行ったクラウドファンディングの資金提供は購入型ですね。シェアオフィスのチケットと地元長野県産の銘酒が送られてきましたので。
逆に資金調達側の法人にとっては売上。
ただ、仮に1,000万円をクラウドファンディングで資金調達して、1,000万円で内装工事費用に充てた場合、内装工事費用は減価償却で損金計上されますので、実質的には法人実効税率を考慮すると、1,000万円全額を内装工事費用に充当はできないことになりますね。
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関東信越税理士会東松山支部 経理部長
関東信越税理士会埼玉県支部連合会 会員相談室相談員
嵐山町固定資産評価審査委員会 委員
@smoritoshi
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