土地建物を一括取得した場合の取得価額の按分 東京地裁、国の固定資産税評価額を用いず

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T&Amaster №856 2020.11.02

納税者は競売で土地、建物、附属設備を一括で取得、土地については路線価、建物等については類似物件を参考に再調達価額に基づき算定し、価格比により土地を約13.1億円、建物等を約12.7億円としたうえで、減価償却費の計上、消費税の控除対象仕入税額を計算。

これに対し税務署は、固定資産税評価額による土地と建物の価格比により按分するのが合理的であるとし、土地を約22億円、建物等を3.8億円として算定し、法人税と消費税の更正処分等をしたことで、納税者がその処分の取り消しを求めたもの。

審査請求手続では、国税不服審判所は固定資産税評価額の比率によって按分することが相当であるとして、原告の主張を斥ける。

東京地裁では、固定資産税評価額による価額比を用いることは、一般的には合理性を肯定し得ないものではないが、当該資産の個別事情を考慮した適正な鑑定が行われ、その結果、固定資産税評価額と異なる評価がされた場合にはもはや固定資産税評価額による価額比を用いて按分する合理性を肯定する根拠は失われるとの判断。

本件ついては、固定資産税評価額によらずに本件鑑定の評価額によることが相当、と。

一般的には固定資産税評価額による按分で実務は回すしかないのですが、個別事情があれば鑑定もあり、と。そりゃそうなんですけどその見極めの判断が難しい。

本件のように総額26億円の事案となるとアレコレ頭を働かせる必要がありますが、例えば数百万円の事案でここまでできるかどうか。

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関東信越税理士会埼玉県支部連合会 会員相談室相談員
嵐山町固定資産評価審査委員会 委員

@smoritoshi

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