タワーマンションを使った相続税の節税をめぐり、国税庁が行きすぎた節税策がないかチェックを厳しくするよう全国の国税局に指示したことがわかった。「著しく不適当」なケースは個別に評価し直す、という通達の規定があり、全てのタワーマンションの相続について適用するかどうか検討する考えだ(後略)
タワーマンション使った節税、国税庁「チェック厳しく」朝日新聞デジタル2015年11月3日05時00分
「著しく不適当」なケースは財産評価基本通達6の発動ですね。
(この通達の定めにより難い場合の評価)
6 この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。
消費税の自動販売機節税と既視感を覚えます。ひっそりとこそこそやっていれば当局も態度を硬直化させなかったと思いますが、さすがに現状では黙っていられないでしょう。課税の公平を標榜する以上は。
とはいえ、「タワーマンション節税」という言葉の生みの親である沖さんは今なお我が道をひたらすら走る続けている印象です(商標登録しているとは…)
こうした節税に対して「課税当局が規制をかけるのでは?」という噂もあるが、その論点は何も示されていない。これは相続対策に効果的ということが広く認知されてきた証拠だが、マンションに対する相続税評価をどのように変更するのだろう。
タワーマンションもアパートもオフィスビルも、不動産なら全て評価方法は同じで、全て徴税する側が決めた価格と方法に基づいている。課税の仕組みに全て適合した純然たる投資をどこで線引きしても抜け道をつくるだけで、根本的な解決策などないからだ。これは、相続税に詳しい税理士の方が皆口を揃えることだ。
その一方で、税理士の9割以上は相続税申告も対策もしたことなく、半数は国税出身なので、噂が広まるのは仕方のないことかもしれない。しかし、資産家に対する課税が強化される中で、相談に来られる顧客がいみじくも言った次の言葉が印象に残っている。
「タワーマンション節税は合法だから、正々堂々とやりやすい」
タワマン節税を提案した税理士は、課税上のリスクを当然説明しているのでしょうけれど、実際財基通6で課税されて税務訴訟となったときに耐えられますかね。
税理士にとっては、タワマン節税を当局から指摘を受けて否認された場合に税理士職業賠償責任保険が使えるのかどうかが気になります。事前税務相談業務担保特約の加入は必須に思えますが。私もタワマンについてはご案内はしますが、明確にオススメはしませんと説明していましたけれど。さて最初の否認事案がいつ出てくるのか。
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関東信越税理士会東松山支部 経理部長
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嵐山町固定資産評価審査委員会 委員
@smoritoshi