税務弘報 2016年3月号 №64 税理士松嶋洋先生
平成26事務年度調査実績によると、消費税の還付申告法人に対する調査が前期比111.1%と他の税目に比して顕著に増加している(法人税は前期比104.9%)
これ、以前ご案内済です。
あえて税金の還付を受けようという意図がなくても、消費税の還付となる場合、ほぼ確実に税務署から電話で明細を出せだのなんだのご請求されます。先日も私のクライアントで新設法人につき売上がまだそんなに立たず、資本金が1,500万円で1年目から消費税の課税事業者となるところが、内装工事で結構お金がかかったので、結果、消費税の還付となったのですが、誰がどう見ても不正ではないのに、請求書出せ、領収書出せ、消費税の計算明細書出せ、とまぁしつこいんです。出しましたけどもね。
前期が免税事業者の場合、期首の棚卸資産は仕入税額控除可能。
翌期が免税事業者の場合、期末の棚卸資産は仕入税額控除不可。
このあたりはチェック項目としてリストに必須なので間違えることはなかろうかと。
で、先にも書きましたが、設備投資による還付申告です。税務署から行政指導として契約書等、決済資料の送付要請が通例、と。
法人税のミスと連動しない消費税だけのミス、固有非違に注意。
- 給与と外注費
- 課否判定ミス
- 95%ルールにおける用途区分ミス
~給与と外注費の区分~
これは頻出項目ですね。また、社長がどこからか聞いてきて、従業員の給与を外注費にしたいとか言い出すわけですよ。ダメに決まってるのに。
外注元と外注先の「従属性」がポイント。雇用関係があるかないかということなのですけれども。税務調査では形に残る「物品の支給状況」で判断される、と。外注の場合、自分で使うものは自分で用意しなければいけません。名刺、ロッカー、机、包丁、文房具等々。
当然、契約書や請求書も発行して控えておかなければなりません。
これらの資料は当事者の理解として、外注である証拠となるので、それを国税が否定するのはかなりの困難が伴うからである。
もちろん、外注先は事業所得の申告をすることになります。事業所得として申告していなかったからといって即外注費としての性格を否定されるわけではありませんが。
請求書等保存要件の実務については、それほど神経質になる必要はないが、国税は税務調査に協力してもらうために請求書等保存要件を満たしていないことを交渉材料にすることも。
確かにそこまでされたことはないですしね。
国税通則法の改正以来、内部決済の手間が倍増したことから、還付申告から実際に還付されるまで時間がかかる。消費税の還付金を資金繰りに考えるのは危険。
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関東信越税理士会東松山支部 経理部長
関東信越税理士会埼玉県支部連合会 会員相談室相談員
嵐山町固定資産評価審査委員会 委員
@smoritoshi