納税通信 第3413号 より 税務・会計の集中ゼミナール 天野俊裕先生
使途不明金
領収書等はあるけれど、支出の目的、効用、用途が確認できない支出のこと。ただし書きがない領収書、領収書がもらえないリベートや謝礼がこれに該当。
会社としては秘密にしたいわけではないというのがポイント。
支出の事実はわかっているために帳簿、決算書には交際費や寄付金といった科目に紛れ込ませて処理されることが一般的。当然、税法上は損金不算入。
使途秘匿金
ポイントは会社として秘密にしたい支出ということ。
帳簿書類(総勘定元帳等の会計帳簿に限らず、領収書や請求書等含む)に相手方の氏名や目的の記載がない、つまり、支出に関する内容を全て隠す支出。例えば、裏リベート、総会屋対策費、談合費用、政治家への闇献金、地元対策費用、賄賂が該当。当然に税法上も損金不算入。
使途不明金と使途秘匿金の違いは、「秘匿の意思(≒帳簿書類への未記載)」があるかないか。
法人税率30%、所得税率を45%、500を使途不明金or使途秘匿金とされた場合で試算すると。
使途不明金
- 法人税(追加) 500×30%=150
- 法人税(制裁) 0
- 重加算税 150×35%=52
- 源泉所得税(認定賞与) 500×45%=225
- 合計 427
使途秘匿金
- 法人税(追加) 500×30%=150
- 法人税(制裁) 500×40%=200
- 重加算税 (150+200)×35%=122
- 源泉所得税(認定賞与) 500×45%=225
- 合計697
不明金であっても秘匿金であっても、税務調査では当然重加算税で追徴してくるはずです。私が調査官ならそうしますしね。
留意点として2つ。
ひとつは、使途秘匿金を「貸付金」「仮払金」として処理した場合。帳簿に相手先名等を記載しておけば使途秘匿金を回避できるかといえばもちろんそんなことはない。単なる名義人であれば使途秘匿金だし、仮装隠蔽で重加算税に。
もうひとつは、これは気付きませんでしたが言われてみればそうですよね。使途秘匿金として40%課税されれば、支出の相手について秘匿する権利があるかといえばもちろんない。制裁課税を受けたからといって、課税庁による質問検査権がなくなるわけではない。むしろ出口側においても課税されていない可能性が高いわけですから、そっちからも取りたいですよね。さらに隠ぺいで重加うてるし。
上記の認定賞与についてはケースバイケースでしょうが、課税庁としては当然支出の相手側を詳らかにできないようであれば賞与認定してきますよね。役員賞与で源泉所得税、不納付加算税ですか。
当然、これまで私の顧問先において使途秘匿金で課税を受けたことはないですし、これからも出てくることはないと思いますが。そのようなクライアントは顧問契約解除しますしね。そもそも顧問しないです。
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関東信越税理士会東松山支部 経理部長
関東信越税理士会埼玉県支部連合会 会員相談室相談員
嵐山町固定資産評価審査委員会 委員
@smoritoshi