東京高裁、節税目的の不動産購入は総則6項が発動される「特別の事情」を基礎づける事実に該当すると認定

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T&Amaster №882 2021.05.17

東京高裁は令和3年4月27日に財産評価基本通達総則第6項の「特別の事情」に当たるとした課税処分を容認する判決。

相続人による節税目的の不動産購入を「特別の事情」を基礎づける事実に当たるというべきであると判示。

本件不動産の本件通達評価額は、本件鑑定評価額の2分の1にも達しておらず、金額にして5億円以上も少ないから、そのかい離の程度は著しいと言わざるを得ないところ、本件全証拠によってもこのような著しいかい離の存在が一般的であると認めることはできない。

 

本件不動産の購入及びそのための借入れは3億円を超える相続税の圧縮効果を生じさせるものであるところ、亡Aがかかる相続税の圧縮を認識し、これを期待して15億円の借入れ、本件不動産を購入したことは、租税負担の実質的な公平という観点からみた場合、本件通達評価額によらないことが相当と認められる特別の事情を基礎づける事実に当たるというべきである。

 

総則6項では。

「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」

となっていますが、上記判示からもわかるように、著しく不適当かどうかを直接は判断してません。裁判では特別の事情の有無が判断基準となっています。これは重要な論点ですので今後の資産家、富裕層の対策をする場合は避けて通れないところです。

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@smoritoshi

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