週刊税務通信 令和元年7月29日 №3566 より
遺留分減殺請求から遺留分侵害額請求に改正されたことに伴い、事業承継税制についてリスクがある、と。
従前の遺留分減殺請求において、事業承継税制の納税猶予を受けている非上場株式をその請求者に返還した場合、その請求を受けた者の相続財産が減少、更正の請求を行うことになり、その非上場株式は当初から請求を受けた者の特例対象株式ではなくなる。つまり、納税猶予の打切事由である対象株式の譲渡にはならない。
ところが。
改正後の遺留分侵害額請求においては、請求者と請求を受けた者との間で金銭債権債務の関係が生じるため、その金銭の支払いに代えて納税猶予の適用を受けている非上場株式を請求者に移転させた場合は、納税猶予の打切事由である対象株式の譲渡に該当。つまり、納税猶予の打切りにより相続税納付、非上場株式の譲渡により譲渡所得の対象となる。
事業承継税制の適用を受けている場合、猶予額が多額になっている可能性がありますから、遺留分侵害額の請求をされると請求金額が多額になることが想定されます。その場合、金銭で支払えず非上場株式を移転させる可能性も少なからずあるはずです。その場合の納税猶予打切りと譲渡所得の課税については事前に説明準備しておく必要はありそうですね。遺留分対策がされていない場合には。
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