給与・外注費の区分の考え方は?

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週刊税務通信 令和元年9月16日 №3572 より

タニタ本社、1割が個人事業主 「就社」から「就職」 - 日本経済新聞
企業と働き手の関係が新しいステージに入ってきた。健康機器大手のタニタ(東京・板橋)は社員との雇用契約を切り替え、業務委託で仕事を依頼する制度を導入。今は本社所属の社員の1割が個人事業主だ。個人事業主を含む国内のフリーランス人口は1000万人...

タニタが雇用契約から業務委託に切り替えている最中ですが。本社では1割が個人事業主ですか。社会保険もないし、大丈夫なのでしょうかと心配になりますが。

この場合の給与所得と事業所得(外注費)の区分が実務上問題となるところです。タニタを真似して外注費扱いとして、会社は社会保険料負担削減、消費税の仕入税額控除とメリットを享受していると思いきや税務調査で否認されて追徴税額、というケースがそのうち出てくると予想。実際、税務調査では既によくある指摘事項。

実務上の判断における5つの着眼点として、昭和56年の最高裁判決が参考になります。

  1. 代替性の有無
  2. 拘束性の有無
  3. 指揮監督の有無
  4. 報酬請求権の有無
  5. 材料又は用具等の供与の有無
代替性の有無

事業所得の場合、実際の仕事は自分自身ではなく、自分が雇用する第三者に任せることができる。本人がやらなければならず、第三者の代替が認められない場合は給与所得の該当性を強める。

拘束性の有無

出勤簿やタイムカードで就業時間が監視されている場合は給与所得の該当性を強める。

指揮監督の有無

事業所得の場合、仕事の期限さえ守れば途中の進行度合いや手順等については依頼主から特に指図は受けない。具体的内容や方法が指示されており、業務の遂行が使用者の具体的な指示命令を受けて行われる場合は給与所得の該当性を強める。

報酬請求権の有無

事業所得の場合、引渡し未完の完成品を災害等で滅失等して依頼主に納品できないときは、通常は報酬の支払いを受けることができない。雇用契約の場合は、労務の提供だけでOKで、結果は関係ない。

材料又は用具等の供与の有無

事業所得の場合は、材料用具は自分で用意する。雇用契約の場合は、雇用主が材料用具を用意する。

この5つのポイントを無視して、形式だけ給与所得から事業所得に変更しても税務調査では血祭にあげられるだけなので要注意。

団体の会合等で社長が聞きかじった内容で勝手に進めて無事に税務調査で撃沈した事例を知っています。

平成15年7月の内部通達における給与所得及び事業所得の判定検討表も参考になりますね。こちらはTAINSから取れますね。

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@smoritoshi

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