納骨費用を相続税の計算上、債務控除できるのか?というご質問を頂戴しました。
結論はできるわけですが。
ちょっと自分でも調べてみるような意識の高い相談者様でして、できないんじゃないか?と疑問を持たれたようです。というのもネット検索して相続税法基本通達をご確認されたようでして。
(葬式費用) 13-4 法第13条第1項の規定により葬式費用として控除する金額は、次に掲げる金額の範囲内のものとする。(昭57直資2-177改正) (1) 葬式若しくは葬送に際し、又はこれらの前において、埋葬、火葬、納骨又は遺がい若しくは遺骨の回送その他に要した費用(仮葬式と本葬式とを行うものにあっては、その両者の費用) (2) 葬式に際し、施与した金品で、被相続人の職業、財産その他の事情に照らして相当程度と認められるものに要した費用 (3) (1)又は(2)に掲げるもののほか、葬式の前後に生じた出費で通常葬式に伴うものと認められるもの (4) 死体の捜索又は死体若しくは遺骨の運搬に要した費用
相基通13-4のうち、(1)ですね問題は。
(1) 葬式若しくは葬送に際し、又はこれらの前において、埋葬、火葬、納骨又は遺がい若しくは遺骨の回送その他に要した費用(仮葬式と本葬式とを行うものにあっては、その両者の費用)
「これらの前において」とあることから、葬儀後に行った納骨費用について、債務控除できないのでは?というご相談でした。
普通に考えて、葬儀の前と後で支払った納骨費用の性質が変わるわけはありません。明らかに通達がおかしいです。
とまぁ、常識で考えてもおかしいわけですが、実際、国税当局の内部資料では以下のように取り扱うよう質疑応答事例があります。TAINSより。
東京国税局課税第一部 資産課税課 資産評価官(平成24年7月作成) 「資産税審理研修資料」
初七日の法会(法事)の際に行った納骨に係る費用を葬式費用として相続税の課税価格から債務控除(相法13①二)することができるか否か 甲は、平成24年1月に死亡したが、甲の葬式において納骨は行わず、初七日の法会(法事)の時に納骨を行うこととした。この場合、納骨にかかった費用を相法13条1項2号に規定する葬式費用として相続税の課税価格から債務控除をすることができるか。 初七日の法会(法事)の時に納骨を行った場合でも、納骨に要した費用と初七日の法会に要した費用が明確に区分できる場合には、納骨に要した費用を葬式費用として債務控除することができる。
ってことでOKです。じゃあ通達は何やねん、という話ではありますが。そもそも葬儀という宗教的な意味あいのあるものについては税務調査でそこまで厳しく指摘は受けないという経験則はあります。明らかにダメなものまで葬式費用に入れていたらそれはもちろんアウトですけど。常識の範囲内で、ということです。厳しくみられるのはそこじゃありません。名義預金とか他にあります。
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嵐山町固定資産評価審査委員会 委員
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