週刊税務通信 平成30年11月19日 №3532 より
残業の抑制等を目的に早朝出勤を奨励しているケースが増えているそうで。
なるほど伊藤忠とかでは実施しているようですね。
早朝出勤を奨励しているケース
この場合、通常の勤務時間に変動はなく、あくまで早朝出勤部分は「超過勤務」となる。
夜間も早朝も所得税法基本通達36-24によれば、超過勤務時に支給する食事に対してはその経済的利益に課税しなくてもOK。
使用者が、残業又は宿直若しくは日直をした者(その者の通常の勤務時間外における勤務としてこれらの勤務を行った者に限る。)に対し、これらの勤務をすることにより支給する食事については、課税しなくて差し支えない。
企業が購入した朝食を無料で支給するケース
所基通36-24により非課税。
ただし、特定の者にのみ支給した場合は従業員に対する福利厚生とは言えないので課税。当然、社会通念上高額な朝食も課税。
従業員が購入した朝食を企業が金銭で精算するケース
所基通36-24により非課税。
源泉所得税関係の個別通達「深夜勤務に伴う夜食の現物支給に代えて支給する金銭に対する所得税の取扱いについて」では、夜食の現物支給に代えて支給した金銭(300円以下/回)を非課税としているが、早朝出勤は下記に該当しないのでこの個別通達の適用なし。
深夜勤務者(労働協約又は就業規則等により定められた正規の勤務時間による勤務の一部又は全部を午後10時から翌日午前5時までの間において行う者をいう。)に対し、(以下略
勤務時間を前倒ししているケース
上記の早朝出勤を奨励しているケースの場合はあくまで早朝部分は超過勤務となるが、前倒ししているケースでは「通常の勤務時間内」が早い時間帯にズレ込んでいる状況。
税務上、勤務時間内に支給する食事は、
- 従業員が食事の金額の50%以上を負担
- 企業が負担した食事の金額が月額3,500円以下
という2要件を満たせば非課税となる。
使用者が役員又は使用人に対して支給した食事(36-24の食事を除く。)につき当該役員又は使用人から実際に徴収している対価の額が、36-38により評価した当該食事の価額の50%相当額以上である場合には、当該役員又は使用人が食事の支給により受ける経済的利益はないものとする。ただし、当該食事の価額からその実際に徴収している対価の額を控除した残額が月額3,500円を超えるときは、この限りでない。
企業が購入した朝食を支給するケース
所基通36-38の2を満たせば非課税。
例えば、1食300円の朝食のうち従業員が150円を負担して20日利用したとすると、150円×20日=3,000円≦3,500円となり非課税。
企業が購入した朝食を無料で支給するケース
超過勤務時ではない通常の勤務時間内の無料支給は所基通36-38の2の要件を満たさないので課税。
従業員が購入した朝食を企業が金銭で精算するケース
従業員が負担していないので課税。
相続・贈与・譲渡・遺言・事業承継・法人についてのご相談は
埼玉県東松山市の関根盛敏税理士事務所まで
関東信越税理士会東松山支部 経理部長
関東信越税理士会埼玉県支部連合会 会員相談室相談員
嵐山町固定資産評価審査委員会 委員
@smoritoshi