実務家が汗をかいて足で稼いだ内容満載でとても参考になる太田垣章子先生による新著。
「家賃滞納という貧困」の名著でしたが、今回も大当たり。
とにかく高齢者が家を借りるハードルが高い、と。
不動産管理会社等は「大家の理解が得られないから」とごねるようですが、大家としては事故物件となり金銭的な被害を受けない限り、日々の対応は管理会社任せだし、空室より良いし、高齢者は一度入居するとなかなか出ないし、貸したい。
一方、事業者は管理手数料は同じなのに手間暇かかる高齢者は避けたいために消極的になるようです。
実際、孤独死のリスクは怖いところです。
賃借権は相続の対象となり、相続人との間で継続している状態ですから、大家さんとしては相続人全員と解約するか、相続人全員が相続放棄しないと契約を終了することができない。
ということで、いくつか提案がされているのですが。
- 終身建物賃貸借契約
- 配偶者や同居の親族は契約を相続
- 従来通り相続
これらを選択制にできないか、とか。法務省は相続人と解約手続きをすればいいと考えているようで、実務現場とのズレを感じざるを得ません。どれだけ大変か。民間の大家さんだけが過度にリスクを負うのはあまりに酷です。
生活保護が亡くなった瞬間に打ち切られるのも大家さんにとってはシビアだといいます。
賃借権を相続の対象から外すとか、終身建物賃貸借契約のハードルを下げるとか、大家さんが安心して高齢者に賃貸できる法律やルールを作っていかないと、今後の超高齢化、かつ、おひとり様社会の到来に対応しきれないのでは。
また、生活保護という制度に強い抵抗感を抱く人が多いので、生活保護はもらいにくい、ならば「家賃補助」という形で住宅扶助できないか。
家賃を滞納するのは、家賃を払うと生活できないからであり、そこさえ補填すれば生活は何とかなる、という人は多いかもしれない。
一読をオススメします。
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関東信越税理士会東松山支部 経理部長
関東信越税理士会埼玉県支部連合会 会員相談室相談員
嵐山町固定資産評価審査委員会 委員
@smoritoshi