配偶者居住権に関する一考察(税理士界)


税理士界 第1382号

論壇 配偶者居住権に関する一考察 
東京会 松岡章夫先生

筆者の疑問として。

配偶者居住権は建物所有者と配偶者の合意等により創設的に配偶者が取得すると考えられないか、と。

例えとして。

被相続人が土地、建物を保有、相続人甲が建物とその借地権を取得して、別の相続人乙が底地を取得するということは少なくとも相続税法上はできない。つまり、甲が建物を取得、乙が土地を取得した後に乙が甲のために創設的に借地権を設定したと整理される。要するに、借地権の贈与があったという考え方。配偶者居住権もこれと同様の創設的な取得と考えるべきなのでは、と。

所有権とは自由に物を使用、収益、処分する権利。配偶者居住権は、被相続人が保有していた居住建物と敷地の所有権を分解したうちの使用と収益をする権利部分のことであり、この権利がもともと被相続人に属していた権利だから配偶者居住権は相続財産だというロジックなのか。相続財産性がないということであればみなし規定を入れておく必要がある。

夫が死亡し、子が自宅の土地(相続税評価額8,000万円)、建物(相続税評価額1,000万円、木造築年数15年)を相続し、妻(75歳)が終身の配偶者居住権を設定する場合。

  • 建物…配偶者居住権893万円、所有権部分107万円
  • 土地…敷地利用権2,865万円、所有権部分5,135万円

このとき、配偶者居住権と敷地利用権の評価額合計が3,758万円となり、権利がない場合の合計9,000万円の42%を占めることになり、そこまで財産価値あるのか疑問。現行の借家権と同様にゼロ評価でいいのでは?

貸家、貸家建付地も土地と建物の所有権と賃借権の総和は100%にならないし。

相続税が課税される割合は相続の8%くらいであり、税理士が関与する割合もそれくらいであろうかと予想されるが、配偶者居住権を利用することで意図せず配偶者居住権を消滅する事態が生じて高額な資金を用意せざるを得ないケースが出てくることもありえるので、2次相続も見据えた提案が税理士には必須で配偶者居住権の設定には慎重に対処すべき、と。

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