弁護士会からの照会と守秘義務


日税ジャーナル第22号より

弁護士法第23条の2に基づく「弁護士照会制度」。これは、弁護士会が公官庁や企業などの団体に対して必要事項を調査・照会するものだ。照会を受けた場合、「原則として回答する義務がある」とされているが、税理士に顧客情報の開示が求められ、それに応じて情報を提供したところ、プライバシーの侵害で訴えられたケースもある。

弁護士法第23条の2は以下のとおり規定されている。

(報告の請求)
第二十三条の二  
1 弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。

2  弁護士会は、前項の規定による申出に基き、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

この照会に基づき、関与先の確定申告書と総勘定元帳を提供した税理士が関与先から「不法行為」として訴えられたと。

ややこしいのが、この照会には「弁護士法第23条の2に基づく照会は、個人情報保護法令の保護除外事由にあたりますので、回答に際して、照会の対象である本人の同意を得ていただく必要はありません」と記載されていたんですね。

これ、自分だったら照会に応じたかどうか、微妙なところです。基本的には顧問先から許可を得てから応じるところですが、弁護士からの照会にこんな記載があった場合にはスルーしてしまう可能性だって無きにしも非ず。しかも、本件は、現在の顧問先ではなく過去の顧問先で現在は顧問していないと思われますので、なおさら気軽に応じてはいけないパターンですが。

二審の大阪高裁で不法行為に該当すると判断された理由として、「23条照会受けた者は、どのような場合でも報告義務を負うと解するのは相当ではなく、正当な理由がある場合には、報告を拒絶することによって保護すべき権利利益が存在し、報告が得られないことによる不利益と照会に応じて報告することによる不利益とを比較衡量して、後者の不利益が勝ると認められる場合をいう」と指摘。

さらに、税理士法第38条「税理士は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は窃用してはならない。税理士でなくなった後においても、また同様とする」を踏まえ、守秘義務の観点からも判断。

弁護士会からの照会だからといって即「正当な理由」ということにはならないんですねぇ。

一方、守秘義務を理由に照会を拒否したことで、損害賠償を請求される事案も起きていると。

詐欺事件の被害者が損害賠償金の支払いがないことについて、強制執行手続を検討していたが、住所が不明につき転居先を調べるため弁護士会が日本郵便に照会を行ったケース。日本郵便が照会に応じかねると対応したところ弁護士会が日本郵便に対し損害賠償請求。名古屋高裁は賠償金の支払いを命じる。

ただし、最高裁で上告審弁論が開かれているそうで、日本郵便が敗訴した二審判決が見直される可能性大、とのこと。

 

で、知り合いの弁護士に聞いてみましたけど、一般的には照会よりも顧問先等の守秘義務の方を重視すべきで、弁護士もダメ元で照会をしている可能性もあるから照会あっても一旦は書面で守秘義務の観点云々で拒否の回答をするのがベターとのことでした。

たまに弁護士本人からの照会があるけど、それは弁護士法23条の2に基づく照会ではないので絶対に応じてはダメとも。

ブービートラップすぎる…

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関東信越税理士会東松山支部 経理部長
関東信越税理士会埼玉県支部連合会 会員相談室相談員
嵐山町固定資産評価審査委員会 委員

@smoritoshi


コメント

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