戦略的「暦年贈与」に国税庁が“お墨付き”

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日替り税ニュース

毎年一定額を贈与する場合、基礎控除の110万円以内であれば贈与税はかからないが、例えば「10年間にわたり毎年100万円ずる贈与する」という当事者間の約束に基づいて贈与する場合は、その約束をした年に「10年間にわたり毎年100万円ずつの給付を受ける権利」の贈与を受けたものとみなされ、同24条に基づいて評価されることになる。

まぁ、そうなんですけど。最初から「10年間にわたり毎年100万円ずつの給付を受ける権利」を贈与する、なんて契約書をまかないでしょう。今年は100万円だったり、来年は110万円だったりすることもあるわけで…

このあたりは税理士がうまくやれば今までも問題はありませんでしたが。

とはいえ、税理士の中にはこのあたりをきちんと整理できていないために、定期金課税されるとおっしゃっている方がいらしたのも事実で。

その意味では下記のように国税庁からのお墨付きを得られたのは前進でしょうか。

同社の「暦年贈与サポート信託」は、暦年課税を利用した贈与手続きをサポートするものだ。贈与契約書に基づき、贈与者の普通預金口座からあらかじめ指定した受贈者の普通預金口座に贈与金額を入金するサービスで、贈与者が、贈与の都度、相手や贈与金額を決定し、贈与契約を締結するのが特徴。こうすることで同24条の「定期金」の該当性をなくし、暦年課税に寄せていくことができる。

 同社は国税庁に対し、「本件サービスに基づき行われる贈与については、各年に締結される贈与契約の内容に基づき、各年の贈与として贈与税の課税が行われることとなるものと解するのが相当であり、あらかじめ定期的に贈与することについて贈与者・受贈者双方の合意がなされている場合でない限り、本件サービスを利用した贈与は、『定期金給付契約に関する権利』の贈与に該当するものではない」とし、この判断の是非を照会。これに対し国税庁は、照会の事実関係を前提とする限り同社の見解通りで差し支えないと回答している。

 これにより本サービスに基づく贈与は、直ちに同24条に規定する「定期金給付契約に関する権利」の贈与には該当しないとの“お墨付き”を得たことになる。

何でもかんでも税務署にお伺いを立てるってのは好きじゃありません。税理士なんだから自分で考えて実行するかしないか決めたいという矜持はあります。

昨今の税理士は事前に税務署に確認しちゃいますからね。それも税法や通達にうたってあること以外のテクニカルなことまで聞いちゃったりして。そりゃ税務署も苦笑いせざるを得ないだろうっていう。

いずれにせよ三井住友信託銀行の「暦年贈与サポート信託」はOKということで。

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関東信越税理士会東松山支部 経理部長
関東信越税理士会埼玉県支部連合会 会員相談室相談員
嵐山町固定資産評価審査委員会 委員

@smoritoshi

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