週刊税務通信 平成27年12月7日 №3387より
税務相談 法人税 回答税理士 成松洋一氏
税務調査において、売上計上漏れ1,500と受取配当等の益金不算入の過少額500があった場合に、通算して1,000を増差として更正してくれないのかどうか。
法法23⑧は「第1項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に益金の額に算入されない配当等の額及びその計算に関する明細を記載した書類の添付がある場合に限り、適用する」と規定されている。
つまり、当初申告である確定申告でその適用を失念し、または益金不算入額が過少であっても、その明細を記載した修正申告書または更正請求書を提出しなければ、受取配当等の益金不算入の適用は受けられないということです。
結果、税務署長は1,500の売上計上漏れの増差について更正し、法人が更正の請求をすることで500の受取配当等の益金不算入の減額更正となる。これは二度手間以外なにものでもない。
弾力的な運用が望まれるし、できないなら税制改正すべきだ、と。
修正申告書を提出するときは、また別の話。
明細を記載した書類を添付すれば、売上計上漏れ1,500と受取配当等の益金不算入の過少額500を通算して、1,000を増差として修正申告が可能。
平成27年度税制改正により新たに創設された「地方活力向上地域において特定建物等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除」のうち、法人税額の特別控除について、適用額の制限は課されていない。
とはいえ、修正申告または更正の請求により控除される金額は「当該確定申告書等に添付された特定建物等の取得価額を基礎として計算した金額」に限られる。
当初申告で特定建物等の取得価額を記載した書類の添付がなければ、これらの制度の適用がないということ。
当初申告時に赤字で適用がないからといってこれらの書類を添付せずにいたら、税務調査等で増差がでて一転黒字となり修正の必要が出てくることも考えられる。当初申告時には赤字であっても書類の添付をしておく必要がある。税務ソフトによっては、赤字で税額控除が0となる場合には電子申告の送信時にその書類がはじかれてしまうケースもあるので設定に注意が必要(自戒)
相続・贈与・譲渡・遺言・事業承継・法人についてのご相談は
埼玉県東松山市の関根盛敏税理士事務所まで
関東信越税理士会東松山支部 経理部長
関東信越税理士会埼玉県支部連合会 会員相談室相談員
嵐山町固定資産評価審査委員会 委員
@smoritoshi