今月の支部例会の研修は浦和支部より講師団所属の望月茂先生に講義を頂戴しました。数年ぶり2回目ですね。
以下、メモ。
建物の購入費、建築費について、土地付建物の販売目的の場合、「課のみ」というのは消費税法の授業でお勉強することですが、これ、どこにも明確には記載されていないのですね。以前はコンメンタールに掲載されていたようですが、今は削除されているのだとか。常識なので削除。
賃貸物件を物納する場合は、課税売上となるので要注意。失念しがち。
住宅の貸付に係る賃借人退去に伴う原状回復費用(クリーニング代)については、課税対象。賃借人に代わって賃貸人が原状回復工事を行うことは賃貸人の賃借人に対する「役務の提供」となるから。
これは、よく出てくるのですが、個人の確定申告で間違っている例を見かけますね。
消費税法の論理構造として。
- 納税義務の判定方法…基準期間の概念…判定の期間のズレ
- 購入時即時控除制度…購入課税期間における課税売上割合、用途で完結してしまう
- 簡易課税制度…実額ではなく、みなし仕入率により控除額を算出する
上記を悪用して…
制度 | 利用分野 | 対処 |
---|---|---|
1 & 2 | 自動販売機スキーム | 平成22年度改正 |
1 | 人材派遣スキーム | 平成23年度改正 |
1 | 人材派遣スキーム | 平成24年度改正 |
1 & 3 | SPCスキーム | 平成28年度改正 |
消費税改正の歴史は、租税回避スキームとの戦いの歴史でもあります。で、みると、上記1、つまり「基準期間による納税義務の判定」という消費税の基本中の基本のところを利用してスキームが組まれています。
ごくごく簡単にいってしまえば、「2年前の売上が1,000万円超なら納税義務者」、ってことなんですが。
そこで、望月先生もおっしゃておられましたが、当事業年度の課税売上で判定するように改正しろ、と。
これはそのとおりで、消費税導入当初は会計ソフト等が未発達で当課税期間での判定は困難だったかもしれませんが、今や、そこまで手間暇かからず、期末には納税義務の判定ができるでしょう。
つぎはぎだらけの改正で税理士さえもう消費税法を整理できなくなりつつあります。いわんや納税者をや。
シンプルを是とすべきで、国税当局だってそっちの方が楽でしょうし。
棚卸資産の調整は忘れがち。
建物の権利金は100万円以上あれば調整対象固定資産。失念しがち。
8%→10%となる場合の経過措置として、家電リサイクル法に規定する再商品化等については経過措置が設けられているのに、自動車のリサイクル料は経過措置対象外となっている。自動車業界のロビー活動が足りなかったのか?とのことで興味深い。
以上、大変勉強になりました。望月先生ありがとうございました。
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関東信越税理士会東松山支部 経理部長
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嵐山町固定資産評価審査委員会 委員
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