納税通信 第3462号 2017年2月27日 より
1ヵ月も前の納税通信ですが、見落としていましたので再度メモ。
一括で支払えない税金をどうするか、という話。
勉強不足で知らない部分でした。滞納関係について税理士は実務が疎かになりがちですね。自戒したい。
納期限から滞納処分までの流れを整理すると。
- 納期限
- 催告 → 未納
- 督促 → 滞納
- 調査
- 差押
- 換価
- 配当
まず、未納と滞納は違う。
納期限後、納税しないと税務署から催告書が発送されます。2の状態ですね。この時点はまだ「未納」扱い。
さらに納税しないと督促状が発送されて3となる。この督促状の発送をもって「未納」が「滞納」になる。
滞納になると、財産差押、延滞税が発生。
そうはいっても、資金繰りの問題等、税金を一括で支払えない場合はあるわけで。そのようなときはどうするか。
法定猶予 | 納税の猶予 | A | 納税者の申請による分納 | 未納 |
換価の猶予 | B | 税務署の職権による分納 | 準未納 | |
C | 納税者の申請による分納 | 準未納 新設!!! | ||
事実上の猶予 | D | 嘆願による分納 | 滞納 |
平成26年度税制改正でCが追加。
A,B,Cのどれか法定猶予によって分納が認められると滞納ではない。
Dは税務署にお願いに行って分割払してもらう場合ですね。これは法律には規定されていない単なるお願いなので常に滞納処分のリスクはある。延滞税もかかる。
納税の猶予のハードルは高いです。災害等が原因で一括納付が困難となったときに申請するもので、特別な事情がないと認められない。
換価の猶予は滞納者に対して滞納処分を一定期間猶予するもので、納付困難の理由が災害等に限定されない。
Bは税務署側の裁量だったのでハードルが高かった。
平成27年4月から納税者の申請によるCが新設されたので納税計画を納税者側からアピールする機会ができたといえる。
換価の猶予が認められると、滞納処分が一時的に中断され、延滞税も減免(1/2)され、実質的にはAと同じ状態となる。
申請期限は納期限から6ヶ月以内だが、可能であれば納期限までに申請したい。
換価の猶予の前提
- 一括納付をすると事業継続や生活維持が困難になること
- 納税についての誠実な意思があること
- 猶予を受けようとする税以外に滞納がないこと
- 納期限から6ヶ月以内に申請書を提出すること
- 担保の提供があること(保証人でも可。100万円以下は不要)
Cの申請型の換価猶予が認められたことの実質的な意味は「納税についての誠実な意思の表明」の見える化(制度化)
滞納処分を受けている場合であっても、誠実な納税の意思を表明し、一定の根拠をもって分納を実行する場合にはチャンスを与えよう、というもの。
地方税にも準用。
納税についての誠実な意思の根拠とは、先日付小切手を振り出したりすることなんでしょうかね。
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