相続登記・住所変更登記の義務化等、民法・不動産登記法改正と相続土地国庫帰属法のポイント

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十日会において司法書士の柴崎先生をお招きして、ご講義いただく。

令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント

6つあると。

  1. 相続登記の義務化
  2. 住所変更登記の義務化
  3. 被相続人の不動産の一覧を法務局で取得できる制度
  4. 相続により取得した土地を手放す制度
  5. 相続から10年経過すると遺産分割で特別受益と寄与分の規定が適用されなくなる
  6. 共有物の変更・管理の規定変更
相続登記の義務化
  • 不動産を相続したことを知った日から3年以内に相続登記の申請が義務化
  • 登記懈怠は10万円以下の過料
  • 相続人申告登記が新設
  • 相続登記の義務者は、登記官に、相続開始した旨と自分が相続人である旨を申し出ることが可能となる(相続人申告登記)
  • 添付書面は自分が相続人であることが証明できればいいので、通常の相続登記より負担軽減される可能性
  • 申出により相続登記の義務は免除される
  • 相続分は登記されないし、不動産を売買するには通常の相続登記が必要
  • が、遺産分割が成立した場合は、相続登記義務が生じる
  • 相続人申告登記は登記懈怠を一時的に回避するための制度
  • つまり、①法定相続分による相続登記、②相続人申告登記という新たに創設される①②を利用しても、遺産分割をしたら3年以内に相続登記が必要となる。①と②は一時しのぎでしかない。
  • 2024年4月1日から施行
住所変更登記の義務化
  • 住所の変更日から2年以内にその変更登記の申請が義務化
  • 登記懈怠は5万円以下の過料
  • 法人も対象
  • 法務局は定期的に住基ネットを照会して職権による住所変更登記が可能となる
  • が、自然人の場合は申出がないとダメ(DV被害者等を考慮)
  • 2026年ごろ施行?
被相続人の不動産の一覧を法務局で取得できる制度
  • 登記官に対して手数料を納付して、被相続人の所有不動産記録証明書の交付を請求できるようになる
  • いわゆる、不動産の名寄せ、が可能になる
  • 住所氏名で検索するため、従前の住所で登記がされている場合や、被相続人の被相続人名義のままになっている不動産がある場合、氏名が正字ではなく俗字で登記されているような場合は検索に引っかからない可能性があるので不完全な制度となるかもしれない。
  • そのために住所変更登記の義務化等も併せて制定されている
  • 2026年ごろ施行?
相続により取得した土地を手放す制度
  • 相続または遺贈(相続人に対する遺贈に限る)により取得した土地を手放して国庫に帰属させることができる制度が創設される
  • 土地所有者による承認申請→法務大臣による審査・承認、実地調査権限あり→申請者が10年分の土地管理費相当額の負担金を納付→国庫帰属
  • 共有地の場合は、共有者全員で申請
  • 建物が建築されていたり、担保権等が設定されていたり、土壌汚染があったり、境界未確定だったりすると承認申請ができない(物納と同様か)
  • 審査手数料と10年分の土地管理費相当額の負担金が必要で、負担金はかなりの負担になることが想定されるので、実際には使えない制度として始まるかもしれない(原野20万円、市街地宅地200㎡で80万円くらいかと想定されるか)
  • 2023年4月27日施行
相続から10年経過すると遺産分割で特別受益と寄与分の規定が適用されなくなる
  • タイトルのとおりで、長期間放置されたような場合は証拠等が散逸して共有状態の解消が困難となるため
  • 自分に寄与分が認められそうだったり、他の相続人に特別受益が認められそうなときは、10年を経過する前に遺産分割調整を申し立てた方が良い。
  • 2023年4月1日施行
共有物の変更・管理の規定変更
  • 改正前:変更は共有者全員の同意、管理は持分価格の過半数の同意
  • 改正後:形状または効用の著しい変更を伴わない変更は、持分価格の過半数の同意
  • つまり、所有者不明者を除いて決定できる裁判手続きが創設されたということになる
  • 賃貸物件が共有状態になっているケース、自社株式が準共有になっているケースは対応が可能となる
  • 2023年4月1日施行

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関東信越税理士会東松山支部 経理部長
関東信越税理士会埼玉県支部連合会 会員相談室相談員
嵐山町固定資産評価審査委員会 委員

@smoritoshi

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