『サラリーマンが小さな会社の買収に挑んだ8カ月間 個人M&A成功のポイント』大原達朗著

tax memo

評判の本が届いて早速読んでみたら面白かったのでメモ。

仕事に役立つかなぁと思い読み始めたものの、今後、廃業が増加すると思われる税理士業界に身を置くものとして、相談者のためというよりは、自分がM&Aする側としても興味深く読めました。

個人M&Aにおいては、特にビジネスDD対応を迅速にすべきで、人の問題なのか、集客の問題なのか、オーナーの体調の問題なのか、自分自身で解決策を見いだせない人にはリスクの高い個人M&Aは向いていない。

「M&Aの目的化」は避ける。

個人M&Aでのスキーム選択は事業譲渡がオススメ。事業譲渡の場合は、過去のリスクは全て対象会社に残り、その問題のリスクを買い手が引き受けることはないから。例えば簿外債務で、M&Aでは典型的簿外債務である未払残業代がある。通常、DDを行ったり契約書で損害賠償請求を盛り込むが、無い袖は振れない、ということもあり得る。

ということで、過去のリスクを切り離してしまう事業譲渡が個人M&Aでは有効。事業譲渡は譲渡対象となるものを契約でひとつひとつリストアップしていくので記載のない簿外債務は引き継がれることがない、というわけ。

中小企業の場合、節税、生命保険、リース等で利益を圧縮していたり、業績が悪ければ銀行対策として粉飾が多いため、これらを修正した実質利益で判断。

  • 役員生命保険、リース商品等の節税商品により計上された損金項目
  • 役員報酬
  • 役員専用車が高額である場合の減価償却費相当額
  • 多額の交際費、私的流用など

これらを実質利益の調整として検討する。

個人M&Aでのバリュエーションは回収期間法がオススメ。

買収後のビジネスイメージからPLを作成し、税引後利益で投資額を何年で回収できるか検討。

実質利益、2000万円の会社を5000万円で買収する場合、30%の法人税等を支払ったとして1400万円残。5000万円を回収するには3.6年かかる、という感じか。

M&Aそのものの可否やビジネスそのものの相談は専門家、つまり、弁護士や税理士に相談すべきではない。彼らはビジネスの専門家ではないし、リスクを排除したがる傾向にあるので、良き相談相手にとはならない。

専門家にやめた方がいい、と言われても、これだけのメリットがあるからやる、と言い切れる準備ができるようにしておくべき、と。

クロージングを完了した後は、売り手がしばらく引継ぎ期間を設定することがほとんど。無償なのは1ヵ月程度にしてその後は業務委託契約を締結して報酬、期間を設定しておくとトラブル回避となる。

個人M&Aでは、譲渡後1年間を損害賠償期間とするのが妥当で、売買金額の100%が損害賠償額の上限。

売り手としての成功要因は、これまで事業に300万円かけたので300万円回収したい、というのは買い手にとっては何の意味もない。いくら稼げるのかが大切で、それだけの資金をかけて稼げなかった売り手に責任があるという覚悟が必要。

 

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関東信越税理士会東松山支部 経理部長
関東信越税理士会埼玉県支部連合会 会員相談室相談員
嵐山町固定資産評価審査委員会 委員

@smoritoshi


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