T&Amaster №628 2016.2.1より
都税事務所による「住宅用地の特例」適用ミスにより、固定資産税が過納付となっていた事案。
住宅用地の特例は以下のとおり。
- 小規模住宅用地(住宅1戸につき200㎡までの部分) ⇒ 固定資産税の課税標準が通常の1/6
- 小規模住宅用地以外の住宅用地(一般住宅用地) ⇒ 固定資産税の課税標準が通常の1/3
父に対し都税事務所は平成6年から平成10年までは住宅用地の特例を適用して納税額を通知。平成11年から平成24年までは特例を適用しないで通知。父の死亡により相続人に対し平成25年分について特例を適用しないで通知。
相続人が疑義を指摘。
相続人に平成22年から平成25年までの過納付額115万円を還付するものの、平成11年から平成21年までの除斥期間渡過分300万円は還付せず。
相続人は国家賠償法上違法であると300万円と弁護士費用30万円の国家賠償請求訴訟。
裁判所は以下のように判断。
平成11年以降特例を適用しないで納税額を通知したことに合理的な理由がない。都税事務所長は職務上の注意義務を果たしていなかった点に過失あり。国家賠償法上違法。
一方、納税者についても、平成11年以降固定資産税が増額されていることの異常さを認識できたと認められるし、住宅用地の特例の説明書が同封されていたことから、納税額が適正でないことを容易に知り得ただろ、ということで損害額の1割は過失相殺相当と判断。
結果、270万円と27万円の賠償を東京都に命じた、と。
時間かけて手間かけて訴訟して、結果、都は合計297万円を賠償。当初から支払っていれば300万円ですから、都としては3万円で手間暇に見合ったんですかね。
納税者について、住宅用地の特例措置についての書面が同封されているし、課税明細を見れば特例の適用がなく固定資産税が高いことは容易にわかるだろ、というスタンスはなかなか厳しいものがあります。
ただ、当初から住宅用地の特例の適用がないならまだしも、平成11年に特例適用が突然なくなっているのですから、ちょっと数字に気を使う人であれば気づきますよね。支払いには敏感になりたいものです。私なんかは、毎年支払いのあるものは連年で比較して検討しますからその意味では決算時、というか毎年12月31日には気づきます。比較しましょう。
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関東信越税理士会東松山支部 経理部長
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嵐山町固定資産評価審査委員会 委員
@smoritoshi