週刊税務通信 令和2年11月16日 №3630 より
東京税理士会の業務対策部長と青山学院大区会計プロフェッション研究科教授による税理士試験組と大学院免除組についての問題点などについての対談で、非常に興味深く読みました。
個人的には税理士試験は昭和の試験制度過ぎてもはや実務的に対応していないので5科目の科目合格制度は抜本的に見直して、簿記(財表)、所得税法、法人税法、消費税法、相続税法、民法、会社法の6科目の科目合格制度に見直した方が良いと思っています。実務でほぼ使わないであろう科目を受験させることに果たして意味があるのでしょうか、というのは関係者が薄々感じていることではあるのでしょうけれど。
さらに、税理士試験が難しすぎるというのは対談でも触れられていますが。
そりゃ受験者数も右肩下がりで驀進中というのもうなずける話です。
日税連会長も受験資格を広げるという提言をされていますが、これは会計士では既に実施済ですし。
ただ。この対談の中で町田教授が述べているように、受験資格を廃止することには疑義があります私も。
会計士試験で受験資格が撤廃されたことで16歳で合格する高校生が登場していることはニュースになったくらいです。とはいえ、16歳で公認会計士になったところで果たして社会でプロフェッショナルとしてやっていけるのかは甚だ疑問です。もっと他にも勉強することがあるのではないか、とも思えるからです。このあたり、これから若い世代がもっと合格してきて実績を積み上げていければ感覚も変わってくるのでしょうが。
それと、試験が1年に1回ではなく2回くらいあると、確かに助かります。失敗するとまたチャンスが1年後というのは実はシビアなレースです。科挙かよっていう。
で、この対談中、ちょっとこれは違うのでは、というところがありまして。
【町田】
(前略)
今、大学生や若い社会人が、税理士になりたいという夢を持った場合、しかも、親も税理士ではない、縁故で税理士事務所にツテもない、でも税理士になりたい思った場合に、その人は、税理士になれますか。
【遠藤】
非常に難しい問題だと思うのです。正直に言って、政治家のように地盤、看板、鞄ではないですけれども、今の業界は、かなりの程度を税理士の2世、3世が占めています。
現実問題としては、多くの若い人たちにとって、1つはツテがないから、この業界のことがそもそも分からない。もう1つは、試験が難しすぎてチャレンジできない。この2つのハードルは確かにあると思います。ただそれを乗り越えていくのが、業界として必要不可欠な今後の未来像ではないでしょうか。
確かに、当支部においても若い世代の税理士は多くが2世ですし、今後入会してくるであろう若手も2世の可能性が非常に高いです。だからといってコネやツテがないから税理士にならないというのはまた違うのではないでしょうか。試験は難しくて当然です(難しすぎる今の試験はちょっと問題があるとしても)
それは税理士会がどうこうするような問題ではないでしょう。門戸を広げることと、資格を取得した後のキャリアプランをどうこうするのはまた別の話で。
現状、5科目合格して税理士となっているのは全体の1/3くらいとなっているようです。
2世であれば難しい試験を回避して、科目免除で大学院を目指すのは合理的です。ただ、やはり試験組と違って税法についての理解力については実務に入ってから相当がんばる必要があると思います。
試験制度を現代に合わせて再設計して、受験のハードルを下げて、受験者数を増加させていくのは業界として責任があると思いますが、資格取得後のキャリアは自分で積み上げていく以外ないでしょう。
ロースクールでレベルが下がったとか言われている弁護士でも同様でしょう。
1/3が試験組で、その他は、大学院免除組、国税OB、会計士、弁護士、といった多種多様な属性がいるからこその税理士会の強みは残していきたいものですね。
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関東信越税理士会東松山支部 経理部長
関東信越税理士会埼玉県支部連合会 会員相談室相談員
嵐山町固定資産評価審査委員会 委員
@smoritoshi