事業承継税制の留意点 ブロック別研修から抜粋

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昨日のブロック別研修会でいくつか気になったところをメモ。

  • 事業承継税制の適用は、担保提供が要件。事業承継税制の適用をうける自社株を担保提供すればOK。ここまでは説明があったが、実際は、さらに注意が必要で。株券不発行会社なら問題ないが、そうでない場合は株券を発行して現物を担保提供しなければならない。会社法施行後に設立された法人については、原則株券不発行会社であるが、旧商法時代に設立された会社については原則株券発行会社となっているにもかかわらず、株券を発行していない会社がほとんであろうから、株券不発行で適用を受けたい場合は、登記変更をしておかなければならない。ここは間違える可能性が高いので注意が必要。だいたい事業承継税制の適用を検討しているような株価の高い法人は旧商法時代に設立されているのだろうから。
  • 贈与スタートにせよ、相続スタートにせよ、手続きの順序としては、特例承継計画の策定→贈与の実行(相続の開始)→認定申請→税務署へ申告(認定書のコピーを添付して)となり、認定申請は税務申告期限の2ヶ月前。認定は円滑化法12条1項の都道府県知事の認定。
  • 贈与税の特例措置の後継者(1名の場合)
  1. 特例承継計画に記載された代表権を有する者
  2. 一族で総議決権数の過半数を有する者
  3. 一族で最多の議決権を有する者
  4. 贈与時に20歳以上、贈与の直前に3年以上役員
  • 贈与税の特例措置の後継者(2~3名の場合)
  1. 上記1.2.4の全てを満たす者
  2. 総議決権数の10%以上保有、後継者以外の者の中では最多の議決権数を有する者
  • 贈与税の特例措置の贈与者
  1. 会社の代表権を有していた者
  2. 贈与直前に一族で総議決権数の過半数を有し、一族で最多議決権を保有していた者
  3. 贈与時に会社の代表権を有していない
  • 代表者以外の者からの贈与に係る贈与税の特例措置
  1. 代表者以外の者からの贈与の場合は、代表者の贈与以後、贈与税の申告期限の5年以内に贈与税の申告期限の到来するものに限り適用対象。つまり、代表者の贈与後でないと適用不可。第二種特例贈与認定中小企業者に係る認定申請書の項目1がそもそも代表者の贈与後でないと記載が進めない様式となっている。
  • 先代経営者以外の少数株主(贈与者)から後継者が贈与を受けた場合、後継者は中心的な同族株主に該当するため、株価は原則評価となり、贈与時の税負担は特例措置で生じないものの、贈与者が死亡したときの相続税の総額が高く計算されることになる。特例措置の適用をうけることなく贈与でなく、相続により取得した場合は配当還元で評価されるので少数株主の死亡時の相続税は低く評価されたはず。少数株主について特例措置の適用を受ける場合はこのあたりの事前の説明が必要で、遺言書を作成したうえで相続時まで待った方が税負担的には有利。
  • 事業承継税制の適用を受けるため【だけ】に、減資をして適用を受けた場合は、租税回避とみなされ、同族会社の行為又は計算の否認規定でアウトになるかも…
  • 猶予打切りの場合、利子税の負担が生じるが、5年間の特例経営贈与承継期間経過後に猶予額の全部または一部を納付する場合、5年間の利子税は免除される。さらに、利子税が減免(利子税特例基準割合が1%の場合、年0.4%)されることから、一時的に納税資金がない場合、いったんとりあえず、特例措置で納税猶予をしておいて、5年の間に資金調達をしてから猶予の打切りをすれば、例えば、6年後に打切りした場合は、0.4%の金利負担で5年間納税猶予ができたことになる。実質、1年間だけ0.4%金利負担のみ。資金調達としての機能も要検討。

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関東信越税理士会東松山支部 経理部長
関東信越税理士会埼玉県支部連合会 会員相談室相談員
嵐山町固定資産評価審査委員会 委員

@smoritoshi

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