週刊税務通信 令和7年8月18日 №3863より
アプリ運営会社は雇用契約の当事者ではない。アプリ上でマッチングしたスキマワーカーと企業等が雇用契約を締結する。ここでの雇用契約は、通常、日雇い等としてその日限りで契約は終了する。複数日にわたる場合であっても、その都度、雇用契約を締結、終了する。給与の支払いはアプリ会社が代行する。
乙欄、丙欄適用者でその年中の給与の支払額が50万円以下の者は税務署に源泉徴収票の提出が不要。スキマバイトは原則として丙欄適用者なので、年50万円以下であれば企業は源泉徴収票を税務署に提出不要。
アプリ会社は、税務署への提出が不要となるよう、「同一企業における年収制限」を設置しているケースがある。スキマワーカーが同一企業における収入が一定額以上になるとアプリ上でマッチングさせない仕組みになっていると。
ここで問題となるのは、年50万円以下の判定は、アプリ会社ごとの判定ではなく、各スキマワーカーの合計で判定する。スキマワーカーが複数のアプリを利用している場合、全てのアプリを通じて支払った額を合算して判定する必要がある。
例えば。
Xレストランでスキマワーカーが勤務する場合に。Aアプリ会社を利用して年25万円、Bアプリ会社を利用して年30万円の収入があったときは、スキマワーカーのXレストランでの収入合計は年55万円になるので、源泉徴収票を税務署に提出する必要がある。
これ、現実的に、Xレストランがスキマワーカーに合計でいくら支払っているのか把握できるのでしょうか???AとBのアプリ間でスキマワーカーの情報が共有できていくらスキマワーカーに支払っているのか把握でいればいいのでしょうが、現状システム上ではどうなっているのでしょうかね。なんだか無理なような気がしますが。とはいえ、源泉徴収票の提出漏れが発生したからといって、課税当局側で問題が発生するのでしょうか。高めに徴収されているのでしょうから、確定申告をしないで損するのはスキマワーカーのような気がしますけれど。違うのでしょうか。
それと、市区町村に提出する給与支払報告書についても、年の中途で給与の支払いを受けなくなった者に対する給与等の支払金額が年30万円以下であれば市区町村への提出は不要ですが。こちらは、提出漏れがあると、住民税の課税漏れが発生しそうなので、問題ありですね。
世の中、便利になるとそれに合わせて課税システム上の不備が出てきますね。これは改正で対応されるのでしょう。50万円とか30万円とか区切らなくなりそうです。
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嵐山町固定資産評価審査委員会 委員
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