税理士損害賠償事故例と予防対策ケース・スタディ 居住用財産譲渡と住宅ローン控除のケース

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週刊税務通信 令和3年3月15日 №3646 より

  • 平成29年10月 依頼者が居住用財産を譲渡
  • 平成30年1月 依頼者が税理士に確定申告依頼、この時、平成30年4月には新居を取得する予定だが資金不足のため住宅ローンで対処することを説明
  • 平成31年2月 税理士は平成30年分の確定申告時に住宅ローン控除の適用不可であることに気づき、シミュレーションをしたところ住宅ローン控除を適用した方が有利だったことが判明

上記の時系列で、過大納付分を損害賠償請求されたもの。

3000万円を満額で控除できていれば3000万円×20%(復興税は無視)=600万円は減税されるわけですから、住宅ローン控除の10年ほどの総額がこれを超えてくるようであれば住宅ローン控除を選択しないといけません。このシミュレーションが抜けていたと。おそらく譲渡益がそこまでなくて3000万円の限度まで行かなかったために住宅ローン控除の方が有利となっているケースではないかと思われますが。

いずれにせよ、3000万円の特別控除を検討する場合は、次の新居はどのように手当てするのかは確認しないと本件のような事件となる可能性があります。納税者は3000万円の特別控除と住宅ローン控除が併用不可ということを知ってるわけありませんから、税理士側から確認する必要があります。これは逆の場合でもしかりで、住宅ローン控除を適用している物件を譲渡する可能性もあります。どちらが先行するにせよ、3000万円の特別控除、住宅ローン控除を検討する場合は、片方しか選択できない旨、納税者にチェックシート等で説明したうえで確認をとっておくべきでしょう。

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関東信越税理士会東松山支部 経理部長
関東信越税理士会埼玉県支部連合会 会員相談室相談員
嵐山町固定資産評価審査委員会 委員

@smoritoshi

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