週刊税のしるべ 平成31年3月4日
平成30年6月1日付非公開裁決
法基通7-3-6<土地とともに取得した建物等の取壊費等>によると、
法人が建物の敷地を建物とともに取得した場合又は自社の土地の上にある借地人の建物を取得した場合で、その取得後おおむね1年以内にその建物の取壊しに着手するなど、初めからその建物を取り壊して土地を利用する目的であることが明らかな場合には、その建物の取壊しのときの帳簿価額と取壊費用の合計額(廃材の処分によって得た金額があるときは、それを控除した金額)は、その土地の取得価額に算入することとされています。
しかし、初めは建物を事業に使用する目的で取得したが、その後やむを得ない理由が生じたことにより、その使用をあきらめなければならないような場合には、その取得後おおむね1年以内にその建物を取り壊したときであっても、その建物の帳簿価額と取壊費用の合計額は、土地の取得価額に含めないで、取り壊したときの損金の額に算入することができます。(法基通7-3-6)
土地と建物を取得して、取得後だいたい1年以内に建物を取壊した場合に、当初からその建物を取壊して土地を利用する目的であることが明らかであると認められるときは、建物取壊し時の帳簿価額及び取壊費用は、土地の取得価額に算入する。つまり、半永久的に損金にできない。
本件の経過は。
- 平成26年9月 土地建物の売買契約締結
- 平成26年11月 本件建物で従業員が参加するレクリエーション開催
- 平成27年11月 建物の取壊し開始、取壊し後、新建物建設
- 平成28年3月期の決算において帳簿価格と取壊費用を損金計上
- 原処分庁から更正処分
審判所は、
- 請求人が当初は更地での引渡しを請求していた
- 営利法人が収益を直接生み出さない建物を従業員の福利厚生施設とする目的で4億円かけるのは不合理
- 同施設も1回しか利用していない
- 電力契約も締結していない
- 通達の1年はあくまで例示であって「おおむね」を考慮していない
として、建物は取得時から取り壊して土地を利用する目的であることは明らかと判断。
事実認定の問題ですが、いずれにせよ、無理筋だった気がします。事実を捻じ曲げることはできないし、徒労に終わる結果を招くことがいいわけですから、本業に専念した方が得。
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関東信越税理士会東松山支部 経理部長
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嵐山町固定資産評価審査委員会 委員
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