国税庁が見直しの方向性として生保各社に示したポイントは、大きく三つある。
一つ目は、長期平準定期や逓増定期をはじめ、これまで商品個別に決めていた損金(経費)算入割合の通達を廃止すること。二つ目は、新たな算入ルールについては解約返戻金の返戻率が50%を超える商品を対象とすること。三つ目は、解約返戻金のピーク時の返戻率に応じて、損金算入の割合を区分けすることだ。
それだけに動揺は大きかったが、さらに担当者の顔を青ざめさせたのは、国税庁幹部の「いたちごっこを解消したい」という趣旨の発言だった。
生保業界はこれまで、2008年の法人向け逓増定期や12年の同がん保険をはじめとして、個別通達の抜け穴を通すようなかたちで、支払った保険料を全額損金(全損)算入でき節税効果を高めた保険を新たに開発し、集中的に販売してはその後国税庁からダメ出しを食らうということを繰り返してきた。
そうした過去の経緯や、今回の節税保険ブームの火付け役が業界最大手の日本生命保険だったこともあり、「『必要悪』として国税庁も一定期間は目をつぶってくれている」という認識が一部で広がり、「いつものように個別通達の見直しまでが勝負だ」といった声すら漏れていた。
ところが、もはやそこに生保の期待していた予定調和はなく、あるのは「プラチナ型商品のような」と日生の商品を名指ししながら、いたちごっこと言い切って気色ばむ国税庁の姿だったわけだ。
しかしながら、国税庁がいたちごっこを解消しようと税務の抜本的な見直しを宣告しているため、今回ばかりは既契約についても新ルールを適用するというシナリオが現実味を帯びているのだ。
もし、既契約についても新ルールを適用するとどうなるか。中小企業は期待していた節税効果を得られず、一定数の解約発生は避けられないことになり、業界の混乱は必至だ。
さすがに既契約への遡及はないと思うのですが。個別に対応するのではなく、通達を廃止して抜本的にいたちごっこの解消を目指すのは国税庁としては遅きに失した感じがします。お金が回るなら、って見逃していたところもあるとは思いますが。さてどうなりますか。
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