先週末、3月12日金曜日に生命保険協会に国税庁から法人から個人への名義変更プランの取扱いについて見直しを検討中のとお達しがあったようで、2年前のバレンタインショックを彷彿とさせるものがあります。
概要については。
- 法人契約の定期保険を個人に名義変更した場合の給与課税について見直しを検討中。
- 現行、給与課税すべき経済的利益を一律解約返戻金評価しているが、見直し案では解約返戻金が資産計上額の7割未満の場合は資産計上額で評価するよう見直す。
- 2019年7月8日以降締結した契約について適用を想定。
- 6月末の改正を目指す方向。
ということですが、今までのスキームについて説明しておきますと。
法人で低解約返戻金型逓増的保険を契約
解約返戻金が低いときに(当初の解約返戻金が低くなるように保険商品が設計されている)個人へ名義変更(主に社長)
個人(社長)が解約(解約返戻金が高くなった後に)
流れは以上ですが、数字を入れないとわかりませんね。
保険契約:4年目の返戻率15%、5年目の返戻率95%、保険料1000万円/年
この契約を法人名義で加入して4年目まで支払うと、保険料4000万円を払い込んだ状況で、解約返戻金は15%ですので、600万円です。
5年目で個人名義に変更するのですが、このとき、保険契約を売買することとなり、その時価は解約返戻金15%相当額の600万円となります。
その後、5年目の保険料を個人で1回支払います。
結果、個人として支払っている保険料の総額は法人からの買取額600万円と個人で1回だけ支払った1000万円の合計1600万円となります。
ここで、5年目の保険料を支払った後すぐ解約をします。
すると、5000万円の保険料の解約返戻金として95%の返戻率で4750万円が戻ってきます。
個人の収入になるので所得税がかかりますが、一時所得となり、優遇されます。
(4750万円△1600万円△50万円)×1/2=1550万円に対して税率がかかりますので、所得税が半分になるイメージです。
さらに、法人側では4000万円の保険料を支払っているわけですが、大体の契約において半損(半分経費で半分は資産計上)されることになっていますので、資産計上してある4000万円×1/2=2000万円のものを600万円で個人に売却しているので、600万円△2000万円=△1400万円の損金をつくることができます。
という、いってみれば租税回避的な要素があったこのスキームについて、冒頭の見直し案ではほぼ該当してくることになるのではないでしょうか。見直し案で給与課税とあるところは一時所得のことであろうと思われます。
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関東信越税理士会東松山支部 経理部長
関東信越税理士会埼玉県支部連合会 会員相談室相談員
嵐山町固定資産評価審査委員会 委員
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