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回収不能の貸付金債権は相続税の課税対象となるか


月刊税理2015年10月号 プロから寄せられた難問事例より

京都地裁事件、千葉地裁事件をひいての解説ですが、これは非常に質問の多い相談ですよね。社長の同族会社に対する貸付金(会社にとっては役員借入金)を相続財産として計上しなければならないのか、という相談です。一般的にはほとんど回収見込みがないにもかかわらず、ほとんどのケースで貸付金として相続財産計上せざるを得ないのが現状です。

 

というのも、財産評価基本通達205において債権の回収が「不可能又は著しく困難であると見込まれるときにおいては、それらの金額は元本の価額に算入しない」と定められており、ここでいう「不可能又は著しく困難」というケースについて課税庁の態度は非常に厳しいものだからです。

(貸付金債権等の元本価額の範囲)

205 前項の定めにより貸付金債権等の評価を行う場合において、その債権金額の全部又は一部が、課税時期において次に掲げる金額に該当するときその他その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるときにおいては、それらの金額は元本の価額に算入しない。(平12課評2-4外改正)

(1) 債務者について次に掲げる事実が発生している場合におけるその債務者に対して有する貸付金債権等の金額(その金額のうち、質権及び抵当権によって担保されている部分の金額を除く。)

イ 手形交換所(これに準ずる機関を含む。)において取引停止処分を受けたとき

ロ 会社更生手続の開始の決定があったとき

ハ 民事再生法(平成11年法律第225号)の規定による再生手続開始の決定があったとき

ニ 会社の整理開始命令があったとき

ホ 特別清算の開始命令があったとき

へ 破産の宣告があったとき

ト 業況不振のため又はその営む事業について重大な損失を受けたため、その事業を廃止し又は6か月以上休業しているとき

(2) 再生計画認可の決定、整理計画の決定、更生計画の決定又は法律の定める整理手続によらないいわゆる債権者集会の協議により、債権の切捨て、棚上げ、年賦償還等の決定があった場合において、これらの決定のあった日現在におけるその債務者に対して有する債権のうち、その決定により切り捨てられる部分の債権の金額及び次に掲げる金額

イ 弁済までの据置期間が決定後5年を超える場合におけるその債権の金額

ロ 年賦償還等の決定により割賦弁済されることとなった債権の金額のうち、課税時期後5年を経過した日後に弁済されることとなる部分の金額

(3) 当事者間の契約により債権の切捨て、棚上げ、年賦償還等が行われた場合において、それが金融機関のあっせんに基づくものであるなど真正に成立したものと認めるものであるときにおけるその債権の金額のうち(2)に掲げる金額に準ずる金額

 

京都地裁事件、千葉地裁事件をうけて、財産評価基本通達205及び裁判所の判断のポイントとして。

  1. 債務者の経営状況がかなり厳しくとも、相続開始時に手形不渡、破産宣告等の明白な事実が生じていない場合、債権の元本は法律的に存在するため相続税の課税対象
  2. 債権評価における貸付先の個別的事情の斟酌は課税の公平維持という立場の前では極めて限定的な場合にのみ許される。

つまり、相続開始前に、債権放棄(役員側)→債務免除益を繰越欠損金とぶつけて相殺(法人側)とするような対応が必要ということになりますね。債権放棄する際には貸付側から法人に対して内容証明or公証役場で確定日付をとっておくなどのディテールは重要です。私も何度内容証明を出したか数知れません。顧問契約などしているケースであれば対応はできるのですが…

で、最後にコメントがありますが、最近ではこの分野に金融機関が興味を持ち始め、債権回収に併せて相続対策の提案と称し、「関与税理士剥がし」を進めているとかいないとか。自戒しないといけませんね。

 

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嵐山町固定資産評価審査委員会 委員

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