相続空き家の譲渡に3,000万円の特別控除

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T&Amaster №625 2016.1.11より

居住用財産を売却した場合の3,000万円の特別控除という制度があります。これはご案内のとおり。一方、父母が亡くなり、自宅を別居の相続人(長男)が相続します。使わないので売却する場合、売却益に対しては普通に譲渡益課税です。父母にとっては居住用であっても、長男にとっては居住用ではないからです。これに対応するため平成28年度税制改正大綱で新設されるのが空き家の譲渡の3,000万円控除です。

空き家対策の一環で、相続した実家を空き家にするくらいなら、売却してくれ、その場合でも居住用財産の譲渡と同じように3,000万円の特別控除をつけるから、ということです。要するに居住用財産の3,000万円の特別控除の拡大ですね。3,000万円の特別控除ですから、税額にして最大6,094,500円の減税です(3,000万円×20.315%=6,094,500円)。これはでかい。

ただし、条件がイロイロあります。

  • 相続から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡
  • 平成28年4月1日~平成31年12月31日までに譲渡
  • 家屋を取り壊して更地で譲渡
  • 家屋ありなら耐震基準に適合すること
  • 相続後、事業・貸付・居住に供さないこと(空き家のままであること)
  • 売却額が1億円以下
  • 耐震基準に適合すること、空き家のままであるという要件を満たす確認書を各自治体に発行してもらい確定申告書に添付

対象となる物件ですが、昭和56年5月31日以前に建築されたものに限ります。つまり、新耐震基準は対象外で、旧耐震基準が適用されたものに限るということです。さらに、耐震性がない場合は、耐震リフォームが要件となります。要するに他人が買いたくなるよう住めるようにしてから売却しろ、と。

  1. 実家 → 相続 → 空き家あり土地 → 耐震リフォーム → 売却 → 3,000万円特別控除
  2. 実家 → 相続 → 空き家取り壊して更地 → 売却 → 3,000万円特別控除

また、相続税の取得費加算の特例(措置法39条)とは選択適用になりますので、シミュレーションは必要でしょう。

ところで、平成28年4月1日~平成31年12月31日までに譲渡すればよく、相続から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡が条件ですから、平成25年~平成27年に相続した物件でも適用ありますね。これ、以前相続で関与した方々に連絡する必要がありますよ。結構、適用になる相続人の方はいらっしゃるのではないでしょうか。

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関東信越税理士会東松山支部 経理部長
関東信越税理士会埼玉県支部連合会 会員相談室相談員
嵐山町固定資産評価審査委員会 委員

@smoritoshi

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コメント

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