集落営農法人の収益構造にみるインボイス制度が及ぼす影響(税理士界)

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税理士界 第1411号

集落営農法人の収益構造にみるインボイス制度が及ぼす影響 南九州会 渕川知幸先生

インボイス制度が免税事業者に与える影響についての論考です。

まず。集落営農とは。集落を単位として農業生産過程の共同化・統一化に関する合意の下に実施される営農を行う組織をいうそうです。初めて聞いた名称です。不勉強でした。

  1. 機械等の共同利用等によるコストの低減等、効率的な生産体制の確立
  2. 農地の有効利用と有休農地の解消
  3. 地域住民の相互理解、連帯感深化、農村社会の活性化

の3点が集落営農の目的と。

令和2年までに5488組織にまで増加しているものの、高齢化が進行。

集落営農法人の多くは、農事組合法人として設立、収益構造は、消費税の課税取引である農産物売上、交付金や共済金等の課税対象外取引が多くを占めている状況。

構成員には、給料ではなく、剰余金の範囲内で従事分量配当金を分配。従事分量配当金は課税取引に該当するため、農事組合法人は原則課税を選択、消費税の還付を受ける。

配当金を受け取る構成員は事業所得の課税取引となるが、ほとんどが免税事業者で納税義務はない。

ここで。

インボイス制度が導入されると、構成員が課税事業者を選択するか、法人が従事分量配当金による仕入税額控除を適用しないで消費税を納付するか、法人経営の判断を要求されることになる。

構成員が課税事業者を選択した場合。消費税の納税負担の他、申告の事務作業負担、税理士に依頼するならその報酬負担が生じる。

では、構成員が従事分量配当金ではなく、給与として受給した場合、社会保険が強制適用、納税負担減少以上の社会保険料負担が発生。

一方、法人が従事分量配当金に係る仕入税額控除を行わない選択をした場合、法人の消費税負担が増加し、運転資金の調達に影響を及ぼす。

ここで。

生産者の多くは免税事業者であり、インボイスの発行ができない。直売所は、免税事業者である生産者に対し、課税事業者を選択するよう要請をするのか。消費税分の値下げを要求するのか。生産者が値下げを拒否した場合、直売所との取引から除外されてしまうかもしれない。

コロナ禍の中、経営の立て直しが急務である現状からすると、インボイス制度の導入を見送り、現行の区分請求書等保存方式で対応するのが一番の改善策では、と。

南九州会調査研究部では、「簡易課税制度の全額控除区分」を設け、課税売上高が1000万円以下の小規模事業者は、申告期限までに本来の申告書の提出がない場合には、簡易課税の全額控除区分で申告したものとみなす制度を創設すべきである、と提案しているようです。

なるほど、農業については知らないことも多く、勉強になりました。

免税事業者をどうするか問題は、あらゆる場面で噴出しています。

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関東信越税理士会東松山支部 経理部長
関東信越税理士会埼玉県支部連合会 会員相談室相談員
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@smoritoshi

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