定款の違いによる相続時における持分会社の出資の評価

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国税速報 令和3年3月1日 第6647号

持分会社である合名会社、合資会社、合同会社については、株式会社における株主=持分会社における社員という位置づけですが。

この社員が死亡した場合、原則として死亡した者の持分(社員たる地位)を相続することはできません。相続人は死亡した者の持分の払い戻しを請求する権利=持分払戻請求権を有するだけです。

設立費用が株式会社に比べて合同会社の方が安価だという理由で合同会社で設立している方が散見されますが、このあたりの事情を考慮すると株式会社の方が良いのでは?という事例もたまに見かけますが今回はその話ではなく。

持分払戻請求権の評価額は、国税庁HP質疑応答事例「持分会社の退社時の出資の評価」を基に評価することになりますが、これは取引相場のない株式の評価における純資産価額方式を類似しているものの、評価差額に対する法人税等額相当額は控除できない点がまず要注意。

ただし、持分会社は定款自治が広く認められていることから、持分会社の定款に、出資持分の相続につきその持分を承継できる旨を定めることも可能。このような定款のある持分会社の出資の評価では、取引相場のない株式の評価方法に準じて出資の価額を評価することになります。ということは、評価差額に対する法人税等額相当額も控除できることになりますし、類似業種比準価額も使えることになります。つまり、こちらの方が評価額が低くなる可能性が高い。

持分会社については定款を確認しておくことが必要です。持分会社の設立時にここまで考慮して定款を作成していることってあまりないと思いますので。

持分会社の退社時の出資の評価|国税庁

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@smoritoshi

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